報告書 · 2026 年 9 月 26 日(総合版)
レバレッジの結論
指数とセクター指数の 2 倍・3 倍、個別株、信用取引、いまの金利までを、米国 100 年・NASDAQ-100・日経平均・SOX・FANG+ の再現と、東証の実物の ETF で測って総合した。物差しは期待対数成長——長く続けた時に資産が年あたりどれだけ増えるか、の 1 つだけ。
結論
日本株の 2 倍(1367)を 45%、世界株の 1 倍(2559)を 55%。全体で約 1.45 倍にして、いま一括で入れ、持ち続ける。
| 銘柄 | コード | 割合 | 役割 | 信託報酬 | 100 万円なら |
|---|---|---|---|---|---|
| iFreeETF TOPIXレバレッジ(2倍)指数 | 1367 | 45% | 日本株 0.9 倍分 | 0.825% | 143 口(約 44.9 万円) |
| MAXIS 全世界株式(オール・カントリー)上場投信 | 2559 | 55% | 世界株 0.55 倍分 | 約 0.08% | 184 口(約 54.8 万円) |
- 期待対数成長は年 約 6.9%(TOPIX 1 倍だけなら約 6.0%)。見込みの前提は下の「前提と限界」。
- 倍率は借りる費用の安い円の側で掛け、残りを世界株にして揺れを小さくする。
- 1367 は NISA の対象外なので特定口座へ。2559 は NISA の成長投資枠で持てる(つみたて投資枠なら投資信託の eMAXIS Slim 全世界株式)。
- 使わない物: セクター指数の倍率、3 倍、米国の倍率の商品、レバレッジ型の投資信託、信用取引。
- 値段は 2026-09-25 の引け(1367 は 3,138 円、2559 は 2,977 円)。
1. 倍率は「期待」と「金利」から決まる
成長が最大になる倍率 =(期待リターン − 短期金利 − 倍率の費用)÷ 揺れの 2 乗。TOPIX(倍率の費用 1.1%、揺れ 20%)では:
| TOPIX のこれからの年率(配当込み)の見込み | 成長が最大になる倍率(短期金利 1%) | 期待対数成長(1 倍 / 1.5 倍 / 2 倍) |
|---|---|---|
| 4% | 1.0 倍 | 4.0% / 3.5% / 1.9% |
| 6%(この報告書の見込み) | 1.5 倍 | 6.0% / 6.5% / 5.9% |
| 8% | 2.0 倍 | 8.0% / 9.5% / 9.9% |
短期金利が 1% 上がるごとに最適は 0.25 倍下がる。いまの日本の 1 年国債は 1.63%(1 年前 0.77%)で、市場は利上げを織り込んでいる。1367 の中の借り入れは短期金利に連動するので、割合を金利で決める:
| 日本の短期金利 | 1367 : 2559 | 期待対数成長 |
|---|---|---|
| 1.0%(いまの実際の金利) | 50 : 50 | 7.2% |
| 1.6%(1 年国債が織り込む水準) | 45 : 55 | 6.9% |
| 2.0% | 40 : 60 | 6.7% |
| 2.5% | 35 : 65 | 6.6% |
米国は借りる費用が高く、2 倍が 1 倍に勝つには S&P500 で年 9%、NASDAQ-100 で年 11% が要る(今後 1 年の米国の短期金利 4.5% の見込みで)。だから倍率は円の側で掛ける。
2. いまの債券は、入る時期の合図にならない
| 9 月 24 日前後 | いま | 1 か月前 | 1 年前 |
|---|---|---|---|
| 米国 10 年国債 | 5.18% | 4.64% | 4.16% |
| 日本 10 年国債 | 3.07% | 2.89% | 1.67% |
| 日本 1 年国債 | 1.63% | 1.46% | 0.77% |
| 社債の上乗せ(Baa − 米 10 年) | 1.39% | 1.62% | 1.68% |
| VIX | 14 | 15 | 16 |
- 長い金利が日米とも急に上がっているが、社債の上乗せは縮み、VIX も低い——信用の危機ではなく、国債の長い金利の調整。
- 金利・社債の上乗せ・長短金利差・金融環境・VIX を 101 通りの形で「米国株が下げる前触れ」として測って、全部落ちた。押し目を待つと、待ち始めた時より高く買うことになった割合は 64〜77%。時期は待たずに一括で入る。
- 債券(日本 10 年で約 3%)は、倍率を掛けた株より伸びが小さい。近く使うお金の置き場。
3. 「15 年で 30 倍」は過去で最良の 15 年だった
| 2 倍を 15 年持った場合 | 直近(2011-09〜) | 全ての開始月の中央 | 最悪 | 30 倍を超えた割合 | 1 倍の中央 |
|---|---|---|---|---|---|
| S&P500(1926〜) | 27 倍 | 6.9 倍 | 0.21 倍 | 12% | 4.6 倍 |
| NASDAQ-100(1986〜) | 58 倍 | 4.7 倍 | 0.15 倍 | 12% | 5.9 倍 |
| 日経平均(1985〜) | 23 倍 | 0.30 倍 | 0.02 倍 | 0% | 0.95 倍 |
| SOX(1994〜) | 146 倍 | 1.5 倍 | 0.02 倍 | 15% | 2.9 倍 |
日経平均と SOX は直近 15 年が史上最良だった。中央値では、NASDAQ-100・日経平均・SOX の 2 倍は 1 倍より少なく残った。
4. 持ち方は「持ち続ける」。押し目で倍率を上げるのが最悪
2 倍の持ち方を、特定口座の税と売買の費用を引いた手取りで、10 年ずつ全ての開始月で比べた(期待対数成長、括弧は元本割れした割合)。
| 指数 | 1 倍 | 2 倍を持つ | 半分を 2 倍 | 10 か月線 | 20% 下げたら 2 倍 |
|---|---|---|---|---|---|
| S&P500 | +8.9%(5%) | +11.7%(14%) | +10.8%(8%) | +10.9%(3%) | +9.0%(8%) |
| NASDAQ-100 | +11.4%(8%) | +12.7%(19%) | +13.2%(11%) | +16.2%(1%) | +5.0%(35%) |
| 日経平均 | +0.2%(53%) | −5.9%(66%) | −2.3%(61%) | +1.5%(31%) | −6.0%(66%) |
| SOX | +8.2%(19%) | +0.5%(52%) | +5.7%(42%) | +8.8%(25%) | −1.2%(52%) |
- 効くのは規則より指数。揺れの大きいセクター指数(SOX は年 35% 前後)では、2 倍がすでに持ちすぎ。
- 10 か月線は下げを浅くするが、線の月数を 8 か月にすると NASDAQ-100 と SOX で 1 倍に負ける。売るたびに税を先に払い、年 2〜3pt 削られる。
5. 信用取引は使わない
信用で買って放置すると、借金が固定なので下げるほど倍率が上がり、追証の線(2 倍で −37.5%、3 倍で −16.7%)で底で売られる。毎月倍率を戻せば ETF とほぼ同じになる。
| 2 倍・10 年(期待対数成長) | ETF | 信用・放置 | 信用・毎月倍率を戻す | 1 倍 |
|---|---|---|---|---|
| S&P500 | +13.1% | +8.4%(追証 29%) | +12.2% | +10.2% |
| NASDAQ-100 | +14.6% | +10.1%(追証 33%) | +15.3% | +13.2% |
この組み合わせに「信用で 2559 を 0.25 倍分買い増す」を足しても、得は年 0.1〜0.3pt。制度信用は 6 か月ごとに税を先に払い、無期限の一般信用は金利が年 2.75%、NISA では使えず担保にもできない——得は税と手間で消える。全部の表は ETF と信用の比較。
6. これより伸ばせるのは、本物のエッジがある時だけ
- 株のリターンの元は市場全体が上がる分。個別株・セクター・タイミングは揺れや費用を足すので、それを超える勝てる根拠(エッジ)がある時だけ指数の土台に勝つ。
- 勝てる根拠の無い集中した個別株は、揺れの分だけ伸びが削られる(帳簿の揺れが年 30%、指数が年 18% なら、差は年 3% 近く)。
- AI の個別株の実績(約 3 か月): 日本の判断の売買は 29 往復で +8.97 万円、米国は 48 往復で −690 ドル。この本数では市場に勝ったのか運なのかを区別できない。前向きに測り、土台に勝った分だけ枠を広げるのが筋。
7. 実物の TOPIX 2 倍(1367)の最近
| 期間 | TOPIX 1 倍(1308) | TOPIX 2 倍(1367) | 2 倍の最大下落 |
|---|---|---|---|
| 直近 1 年 | +33% | +66% | −22% |
| 直近 3 年 | 年 +23% | 年 +41% | −41% |
| 直近 5 年 | 年 +17%(2.2 倍) | 年 +30%(3.7 倍) | −41%(2024-08-05) |
1 日の最悪は 2024-08-05 の −21.7%。横ばいの年(2021・2022 年)は、2 倍の負けが 1 倍の 2 倍を超えた。最近の成績はこれからの期待ではない。
8. 持ち方のルール
- いま一括で入れる。毎月の収入は、入るたびに同じ比率で入れる。
- 比率が決めた割合から 10pt 外れたら戻す。なるべく新しいお金を足りない側へ入れて戻す(売らないので税がかからない)。
- 下げても売らない。下げで倍率を上げない。
- 下げの大きさを覚悟する——リーマン級の暴落なら −70% 前後、コロナ級なら −40% 前後。1367 は 0 円より下にはならず、追証も無い。
- 日本の短期金利が 2% に届いたら 40 : 60、2.5% なら 35 : 65。相場の揺れが年 25% を超える局面が続いたら 1367 を減らす。
- 世界株の半分以上は円に換えたドル建てなので、円高になるとその分目減りする。為替ヘッジは費用(日米の金利差、年 3% 近く)が高いので掛けない。
前提と限界
- 倍率の商品は日次で倍率を戻す形の再現(借りた分に短期金利 + 0.4%、信託報酬 0.8〜0.95%)。実在の SSO・UPRO・QLD・TQQQ・東証 1570・FNGO と比べ、差は年 1pt 以内。
- 組み合わせの計算は、日本も世界も期待リターン年 6%、揺れ 20% と 18%、相関 0.6 と置いた。期待リターンは見込みであって、測った数ではない——見込みが 4% なら最適は 1.0 倍、8% なら 2.0 倍。
- S&P500 は米国株式全体(CRSP、配当込み)、他は価格指数(配当なし)。SOX と FANG+ の 2016 年秋より前は月足の高値・安値からの近似。
- 過去の再現と仮定からの計算であり、将来の成績を約束するものではない。